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2006年09月20日

ヘルスプロモーション型予防歯科

神戸女学院の内田樹先生は、アメリカ社会における銃と弁護士について、「予防的対処」と「対症的対処法」についての知見を述べられている。まさにヘルスプロモーション型医療を語る上で理解しやすいので、下記に一部を引用する。
 
「予防的」というのは、社会的トラブルを「事前に回避する」ためのふるまい方の習得にリソースを優先的に集中させる考え方である。「対症的」というのは、トラブルが「起きた後」に理非をあきらかにする信賞必罰制度の運用を優先的に配慮する立場である。
誰が考えても分かるけれども「予防的」なシステムの整備と運用に要するコストは、「対症的」なシステムの整備と運用にかかるコストよりもはるかにわずかで済む。
例えば、暗い道を歩いて「ワルモノ」にホールドアップされるということがある。
この場合、迅速かつ効率的にワルモノを逮捕し、拘禁し、裁判を行い、刑を執行し、社会復帰させるまでに要する社会的コストと、「こんな暗い道を歩くと、ワルモノにホールドアップされる可能性があるから、遠回りだけど安全な道を通ってかえろ」とそろって判断できるようなリスク回避の方法を市民に学ばせるために要する教育コスト(プラス「遠回りする」ために費消する、ご本人の時間と体力のロス)を比較すると、誰が考えても、圧倒的に後者の方が安上がりである。

我々の歯科医療に言い換えると、疾病が引き起こす社会的トラブルとは、国民ひとりひとりに要する治療における社会的資源の損失があげられる。
医療費の増大(今後、予想される)、医療費の効果的配分(必要な時に、必要な量)が我々医療者にも患者にもなされていない。患者個人においても、治療による心理的、経済的負担、時間的負担による労働時間、余暇などの社会活動の損失、歯科的健康を害することによる全身の健康への悪影響等、患者ひとりひとりの問題もよくよく考えると社会的な資源の損失になっている。

ヘルスプロモーション型予防歯科と従来の予防歯科との相違点は、まさにこの点である。
医療の視座を、生物学的に主眼をおいた「病気」「疾病対策」にフォーカスするのではなく、次数をあげた社会的な利益も含めた視座を持つ点である。
臨床家は、住民に「自らの健康問題を認識し、リスクを回避できる能力」を学んでもらえるように、診療所をヘルシーセッティング(住民の受け皿機能)し、健康教育に重点をおき、住民のエンパワーメントを引き出すのである。

簡単に表現すると「健康な人」も気軽に来院し、専門家の助言や支援を求める。それが、ヘルスプロモーション型予防歯科のゴールである。
そのことは、人々が歯科的健康のもたらす恩恵や価値に気づいており、安寧(Well-Being)な生活を目指しているからである。
 
楽観的な推測かもしれないが、WHOの推測どおり、今後ますます予防にシフトする時代が訪れるようになると、歯科衛生士が予防の担い手となり、歯科医はハイリスクな住民に医療資源を効果的に配分することになると予想される。そのことは現在より医療の質を高めることが出来、我々が提供する医療サービスも「適正」な報酬に還元されるかもしれないということである。


備考:これは、季刊「歯科医療」(第一歯科出版)に投稿したものを加筆修正したものです。

2006年09月24日

共感

コミュニケーションの関連要因である、大切なもの、それは共感である。
共感は、他人が感じている事を感じ(感情要因)、考え方を受け入れ(知的要因)、理解したことを
相手に伝えようとする(伝達要因)一連のプロセスから発生する。
医療の現場において、共感が、医療者・患者関係=人間関係に影響を与える。
共感が出来る人、出来ない人がいる。
共感できるか、出来ないかは医療者各人の感受性の違いだと思う。

共感できる人は、コミュニケーション感度が高い人である。
患者、来院者の非言語的メッセージから、言葉の意味を患者の世界からの視点で、
解釈できる能力を持っている。
医療者の価値観、思考をまず脇において、
患者の世界に入り込める。
そして、その世界で、言葉の意味を理解しようとする。

別の表現でたとえるなら、患者のメタメッセージを理解する為には、
患者のナラティブな物語に、いち傍観者として立ち入り、
その世界の新人が、主人公に、「私の理解は正しいのか」を
たずねる行為の繰り返しである。
その行為が、その世界の交流できるルール(メタコミュニケーション)
を理解できる。

そこで、医療者と患者(来院者)は、健康についての
対等な依頼者と援助者の関係になる。

このプロセスは、相互交流的にすすみ、ダイナミックに変化する。

沢山の要因が絡み合い、医師・患者関係はいろいろな様相を呈するが、
そのひとつとして、重要な役割が「共感」である。

コミュニケーションの定義は、沢山あるが、
まず、
「コミュニケーションは一連の共通ルールに従い情報を分かち合うプロセスである」
「当事者双方が、影響し、影響されるプロセスである。」
医療における定義づけは、この定義が私には腑におちる。

自分の振る舞いが、患者毎に違っている。
子供と成人と高齢者。
男性、女性。
外交的、内向的な人。

すべての患者さんとの接し方は、違って当たり前である。

ただ、まずお互いを理解する為には、「共感」できるように、
私の能力を高めるしかない。

今が理解できなくても、次がある。
理解できるまでのプロセスなのだから。

まず、コミュニケーションが苦手な人は、共感技術を高めるために、
患者の非言語的メッセージを「観察」し、
言葉の意味を解釈し「知覚」
それを確認する「伝達」
を繰り返し、「感度」を高めるようにしたらいい。

赤ん坊の「しぐさ」から、何を訴えているのか
地球の裏側から聞こえてくる声に耳を傾けるようにすれば、
メタメッセージをつかめるはずだ。

理解しあえる人間関係。
そこから、我々の出す「メッセージ」に共感してくれるのだ。

2006年09月26日

チームワーク

チームワーク(組織生成のプロセス)

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治療中心の医療形態であれ、予防中心の医療形態であれいずれも、院長先生ひとりで診療活動を実践するのは難しい。とくに予防歯科では、衛生士や受付、アシスタントがそれぞれの特殊性や専門性を発揮しなければならない。

ただ、特殊や専門の根底にある、チームメンバーが共有する普遍性や一般性があるはずだ。チームワークには、そこのところが大切なようである。
それには、チームリーダーである院長先生のメッセージがチームのメッセージとして変換しなければならない。開業時や医院の変革時において、リーダーが考えるメッセージがチームのメッセージと共有されたなら、それが、そのチームの「普遍性」「一般性」なのかもしれない。

開業医にとってチームメンバーは資産でもあり、リスクでもある。
「来院者の健康支援を行う」というメッセージがチームメンバーと共有され、
その過程でひとつの共同体のメッセージとして変換されたなら、自分の成長と組織の成長を願い、その職場は、「意欲の源泉」言い換えれば「誰もが働きたい」と思う職場となるはずだ。そうなるとリーダーのメッセージから意識を持った共同体となり、チームのメンバー数の総和以上のダイナミックな動きを始めると思う。

チームメンバーはチームにとって数量的には評価できない、「見えない資産」となるのである。
一方、メッセージの変換がうまくいかなければ、組織の意欲を「労働条件」「財貨」
「名誉(昇進)」により喚起するほかなく、メンバーは「リスク」となる。

いわゆる「即戦力」といわれる人たちは、プライドが高く、自分の専門性や特殊性にこだわる傾向があり、なかなかチームの大切な「普遍性」や「一般性」に入り込もうとしない。組織が活動を共にするには、自分の持ち場だけではすまされない現実があるのだ。
  
明日からできること
「誰もがやりたがらない仕事で、誰かがやらないとみんなが困る仕事」について
話し合い、医院の「普遍性」や「一般性」を確認しあってみては如何でしょうか。

参考文献
平川克美.組織のエートス.OECDミルシュタイン委員会報告書.1998

2006年10月09日

健康支援のためのコミュニケーションスキルを養おう

ここ20数年間、医療の現場で「コミュニケーション」が重要だ!と謳われています。
まず、「接客、接遇」研修がありました。
元スチュワーデスの経験を生かした講師の研修などが花盛りの時代です。
それからは、「カウンセリング」や「コーチング」などが流行しています。

そんなに「コミュニケーション」は難しいのものでしょうか?
難しくしているのは「何」なのか?

この「問い」にKWCは次のように捉えています。
・ほとんどの人は、コミュニケーションがとれている
・医療の現場では、コミュニケーションがとりづらい環境にある。

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2006年10月11日

まず聴くことから

コミュニケーションとは、
「社会生活をおくる人間が、意志、思考、感情を
伝達しあうことであり、言語、文字、身ぶりを媒介して行われる」。( 大辞泉)
また「一連の共通ルールよって、情報を分かち合うプロセス」と定義づけられる。

現代でのコミュニケーション能力は、圧倒的に聴く能力に左右される。
簡単に言えば、聴く能力が高いほど、コミュニケーションは良好に経過する。

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