文元歯科医院

なぜ健康な人が来るのか?

歯科医院を健康づくりの場として、月に一度の定期健診を楽しみに来院しているケース

初診: H13.8.6
来院者: 初診時70歳女性
主訴: 下の前歯が浮いて痛む
第一印象: かなり緊張されているのを感じとられた

初診時

初診時医療面接から(インタビュー要点まとめ)

はじめに簡単な自己紹介をしたあと、受診申込書に記載された紹介者の方についての話題(お互いの共通の話題)からはいり、本題へとうつりました。以下、インタビューで来院者の方がお答えになった内容です。

  • 来院の動機: 下の前歯が浮いているのが気になった。
  • 症状の時期: 数ヶ月前から。最近になって少しひどくなってきた。
  • 症状の原因: 以前に治療した歯で、そこが虫歯になっているのではないか。

以前お世話になった歯科医院は、ご自宅から遠方で通院に負担がかかることもあって、当院へ来院されました。

面接後、口腔内を診査しますと、歯周病が原因の症状でした。患者さんに現状と原因を説明し、対症療法で応急処置をしたのち、次回検査と院内オリエンテーションの予約をとりました。

院内オリエンテーションのインタビュー

時間の経過: 初診時より1週間後
場所: カウンセリングコーナー
担当: 歯科衛生士

初診で見うけられた緊張はほぐれていて、リラックスした状態で院内オリエンテーションをはじめました。

以下、院内オリエンテーションのインタビューのまとめです。

■来院理由と現在の困りごとについて

  • もっと早く来院すればいいと思った。
  • 痛みも少なかったので治療へ行かなかった。
  • 最近になってひどくなり、歯を失うのではないかと不安になった。
  • 右下の歯を失い、入れ歯だけど使っていない。

■過去の困りごとについての質問

  • 2年前にお金をかけて入れ歯を作って、慣れようとがんばったがダメだった。
  • 左でしか噛めないので、食事が全然おいしくない。

■将来どうなっているか又どうなりたいのか

  • この先は、歯が数本ダメになっていると思う。
  • 自分の歯でおいしく食事がしたい。
  • お口が健康になると、言葉もはっきりと話せるし、趣味のカラオケも上手になると思う。

■現在の保健行動(お口の健康のために何をされているのか)について

  • 1日1回、朝にブラッシングする
  • 歯間清掃具は使った事が無い事

今後の治療に対する期待

  • 歯周病について詳しく説明をして欲しい
  • 友人がインプラント処置を受けたので、私もできるのか

■インタビュー内容の整理

QOL(ニーズ)
お口全体で食事を美味しくとりたい
趣味のカラオケを楽しみたい
健康観、価値観
自分の歯は良くならないと思っていたが、治療や予防をすれば回復するのでは無いかと考えが変わる
インプラントをしてみたい気持ちはあるが、予後と費用の面が心配。
保健行動
ブラッシングは朝食前に1回のみで、歯間清掃具は使用していない
その他
以前通院していた医院は自宅から遠いので、ここはちかくて通いやすい

以前は、自分の歯の健康状態は悪く、良くならないものだとあきらめの感情があり、保健行動も必要性を感じておられなかったようです。そして、受診した結果、歯周病が原因であることを理解され、院内オリエンテーションや健康回復の治療の過程で、

  • 回復できる病気なのだという気付き
  • 健康観と価値観の変化
  • 明確なQOLをもつ

といった変化がありました。歯周病を治したい気持ちと、おいしく食事を取りたい欲求が高まり、積極的に健康づくりに取り組まれるようになりました。

健康状態
残存歯 26本
欠損歯 2本(右下6,7) 欠損部未処置
歯周 ポケット検査 全歯牙出血あり
治療方針
歯周初期治療
咀嚼障害にたいして、インプラント処置と咬合再構成
治療
途中治療中断もなく順調に経過

歯科衛生士ワーク

歯周病を治したい気持ちが高まっていましたので、歯周病についての歯科衛生士の健康教育も熱心に受けておられました。1日2回のブラッシングと歯間ブラシを欠かさなかったのですが、途中、歯間ブラシについては、歯間空隙が広くなり、歯肉が痩せ細る心配と歯間ブラシをうまく使えない理由から、中断していた時もありました。最後には、歯科衛生士のフォローアップによりセルフケアーを継続できるようになりました。

■再評価

健康状態

  • 咬合も安定し、歯周組織も安定状態を保っている
  • 保健行動も目標通り実行している
  • 歯周ポケットも改善

定期健診オリエンテーション時のインタビューのまとめ

  • QOL・価値観・健康観
  • 歯が浮いた感じがなくなった
  • お口全体で、美味しく食事が出来る
  • 以前に比べ、自分の口に関心をもつようになる
  • 食事を楽しむ事が出来、残された老後を、楽しく過ごしていきたい
  • 10年後、8020を達成して、表彰される様に元気ですごしたい!

このケースから学んだこと

この患者さんは、健康に対する自信がつき、これからの生活にむけて希望と生きがいを持たれたようです。自分の幸せのために月1回のペースで定期健診に来院すると決められ、欠かすことなく毎回来院を楽しみにされておられます。その度に、ご友人関係や趣味、近況の話で盛りあがります。

前回来院された時も、「私の友達ですごく上品で美人の方がいて、いつも彼女には劣等感を持っていたのですが、歯だけは私の方が丈夫よ!」と自慢されていました。歯科衛生士、受付、歯科技工士、歯科医師が、患者さんと喜びを共有でき、私たちのほうが患者さんに元気づけられる機会が多いようにも感じました。