臨床哲学のメチエ

大阪大学文学部 大学院文学研究科 倫理学 臨床哲学研究室が刊行している「臨床哲学メチエ」に寄稿しています。PDFで配布されており、どなたでもご覧いただけます。

メチエ最新号 vol.20 2013春号

歯医者さんカフェ ー 地域と対話するということ 文元基宝

文元歯科医院で定期開催していたコンビカフェのなかから、「キャッチ&リリース」について地域の方々と会話したときの様子を書いています。

メディカルヘルスプロモーション

MHP(=Medical Health Promotion:メディカルヘルスプロモーション) —– メディカルヘルスプロモーションは診療所でのヘルスプロモーションを意味します。

文元歯科医院のメディカルヘルスプロモーション

  • 診療所でのヘルスプロモーションの情報交換
  • コミュニケーション・知識・技術の向上のための研修
  • ヘルスプローモションを推進するためのツールの開発
  • MHPの活動を評価し、発表

予防・治療・スタッフの側面からみなさんのQOL(Quality of Life)の向上をサポートします。

予防

QOL(Quality of Life)の向上と、セルフケアーの確立をめざします。みなさんとの健康学習や P・M・T・C(プロフェッショナルメカニカルトゥースクリーニング定期健診などの院内活動に取り組んでいます。

治療

患者さんのひとりひとりのWell-beingと予防を中核とした歯科治療です。予防の視点から噛み合わせを診断した矯正治療や歯科治療を実施しています。

スタッフ

コミュニケーション・知識・技術の向上は当然です。さらに患者さんのひとりひとりのWell-beingをサポートするためにアイデアをみんなで話し合って取り組んでいます。

かかりつけ歯科医としての文元歯科医院

私たちは地域の最も身近な医療機関として来院者の日常生活や健康状態を熟知し、来院者のQOL(=Quality of Life:クオリティオブライフ)の向上とWell-beingの実現を支援します。

ヘルスプロモーション

ヘルスプロモーション

ヘルスプローモションはQOL(=Quality of Life)に必要不可欠な活動です。

ヘルスプロモーションは、1986年にカナダのオタワで開催されたWHO(世界保健機構)の国際会議で発表された新たな健康戦略です。この時に「全ての人の健康を2000年の間に達成する行動のための憲章(=オタワ憲章)」が提言されました。ヘルスプロモーションはオタワ憲章の根幹をなしており、以下のように定義されています。

ヘルスプローモションとは、人々が自らの健康をコントロールし、改善することができるようにするプロセスである

従来の健康づくりといえば、専門職(医師、保健師、栄養士、等)が「指導」をおこない、「健康」へと導くものとされていました。しかし、人任せではなく、自分たちの力で健康や豊かな人生を手にいれられるよう、専門職が知識・技術の提供や環境づくりなどをとおして支援していこうという形になってきました。

ヘルスプロモーションの考え方

ヘルスプロモーションは、直訳すると「ヘルス(=健康)をプロモート(=推進・演出)する」になります。一人ひとりの自らの行動ですから、言葉で表現するとわかりにくいかもしれません。そこでヘルスプロモーションの考え方を例えると下図のようになります。

人の一生を坂道ととらえると、人々は幸せな人生を実現するために、一歩一歩、坂道を登っていきます。この人生の坂道を「健康の玉」を押し上げながら登っていきますが、健康に対してリスクの高い時期もあれば低い時期もあります。

だから登る力をつける(ライフスタイルの確立:その人それぞれの暮らしのあり方)ための教育が必要となります。また周りの人々や専門家のサポートも必要です。/p>

さらに坂道を登るのは本人ですが、その家庭で坂道の角度を低くするなど、登りやすい環境を整備していくことも重要です。

私たちはみなさんが坂道を登っていくのをサポートしていきます。「情報(=information)だけがあっても、教育(=education)をどんなに充実させても、対話・関係性(=communication)を築けなければ、健やかに過せない」という考えのもと、みなさんの希望に添える医療をとても大切にしています。

みなさんができるヘルスプロモーションは何ですか?

自分が直接的にできなくても人を動かすことでもいいんです。一人ひとりができるところから始めませんか?

はっぴークラブ参加者の成果データ

ハッピークラブ参加者の成果データ

ハッピークラブに参加されているお子さんたちの虫歯の変化に関する成果データです。ハッピークラブに3年以上継続して参加されているお子さんがデータの対象で、今回は31名です。表中の"DMF"と"DEF"は次のとおりです。

DMF

虫歯の経験のある永久歯(治療してあるかないかは問いません)
Dは未処置歯、Mは虫歯による喪失歯、Fは処置歯の意味です。

def

虫歯の経験のある乳歯(DMFと同じように治療してあるかないかは問いません)
eは虫歯による要抜去歯の意味です。

ハッピークラブへ参加される前の乳歯のdefは、平均3.29本でした。つまり1人につき虫歯の経験のある乳歯が3本あったわけです。そして今回調査したところ、DMFが0.29本という結果になりました。乳歯の場合と同じく、1人につき虫歯の経験のある永久歯が1本にも満たないということです。

この結果に、スタッフ一同「子供たちのがんばりと私たちの日頃の活動成果が確認できてうれしい。自信になる」と喜んでいます。参加者のセルフケアの確立をより確固たるものにし、QOLを充実してもらうため、スタッフが試行錯誤しながらも新たな目標をたて、活動に取り組んでいます。

7年以上の継続者
氏名 年齢 DMF def
A 9 0 6
6 年以上の継続者
氏名 年齢 DMF def
A 8 0 2
B 8 0 3
C 12 0 8
D 7 1 0
E 7 0 0
5 年以上の継続者
氏名 年齢 DMF def
A 5 0 0
B 7 0 0
C 7 0 2
D 7 0 10
E 7 0  
F 7 0 13
G 8 0 0
H 9 0 1
I 11 0 8
J 11 4 8
K 12 0 8
L 12 0 4
M 11 0 0
N 12 2 0
3 〜 4 年以上の継続者
氏名 年齢 DMF def
A 6   3
B 6 0 4
C 6   0
D 7 0 1
E 11 0 0
F 12 0 0
G 12 0 1
H 14 0 4
I 8 0 8
J 10 0 6
K 12 0 2
1人あたりの平均
合計 年齢 DMF def
31名   0.24 3.29

表中の各お子さんのDMFの数値について調査したところ次の理由がわかりました。

5年以上継続者Jさん:DMF4本
クラブの参加が1年間途絶えてしまっていて、その間定期健診を受けられていませんでした。
5年以上継続者Nさん:DMF2本
NさんもJさんとおなじように、クラブの参加が1年間途絶えてしまっていました。
6年以上継続者Dさん:DMF1本
エナメル質形成不全です。

はっぴークラブへの想い

はっぴークラブへの想い − 改善と進化の日々

私たちは地域に密着した医療をやりたい。「はっぴークラブ」がその架け橋であってほしいとの想いを抱いています。はっぴークラブへ入会したお子さんたちがセルフケアを感じとってほしい。

このためには何をすればいいのかを話し合っています。みなさんの声を聴きたいから私たちがミーティングで何を話しているかの一部をご紹介します。

はっぴークラブの概況(これまで)
  • はっぴークラブとは文元歯科医院における小児の健康づくりの場で、1年間に4回(3ヶ月に一度)来院してもらう。15歳で卒業するカリエスフリーと自立を目標としたクラブ。
  • 15歳で卒業だが、数年で中断してしまう子がいる。
  • はっぴークラブには参加しているけれども家庭ではセルフケアが定着していない。むし歯になってしまう子がいる。
問題点
  • スタッフ、会員と保護者の方々がともに中だるみしてしまっているのでは?
  • 新しくはっぴークラブに入会される保護者の方へはっぴークラブの趣旨が正しく情報提供されていなかったため、金銭的なトラブルがあった。
  • はっぴークラブの目的が正しく伝わらず、フッ素塗布の場と思われてしまうことがある。
課題
  • はっぴークラブの中だるみを防ぐために、小児の年代に応じた目標設定をし、それに応じた健康教育を実施する
  • はっぴークラブのシステム、理念を保護者の方々と共有する場を設ける。
  • はっぴークラブの管理をする。
平成19年度の取り組み
  • 健康教育ができる差し替え可能な媒体を入れたはっぴークラブ手帳をつくる。
  • 保護者教室(はっぴー教室)の場をつくる。
  • 医院全体ではっぴークラブのシステムの共有化をはかるためにフローチャートを作成する。
  • より多くの来院者にはっぴークラブの存在を知ってもらうためのインフォメーション活動に力を入れる(→今度の取り組み課題)。