院内改装とヨーロッパ型歯科診療
今年のお盆休みに受付と消毒室の改装を行いました。もうすでに来院された方はご存知かと思いますが、受付、待合室をバリアフリーに変更し、高齢の方や車椅子の方も利用しやすいようにスロープを設け、トイレは車椅子が入る広さに改装しました。
消毒室は皆さまが直接お目にすることはございませんが、今まで以上に院内感染対策を徹底するために、大型で性能の良い消毒、滅菌器機を導入しました。
「ウォッシャーディスインフェクター(自動洗浄機)」と言われる器械と世界でもっとも厳しいと言われるヨーロッパ基準の「クラスB滅菌器」です。
ウォッシャーディスインフェクター
クラスB滅菌器
歯科医院での感染対策において重要なことは、患者さんに使用した器具をそのまま使い回さないことです。理想はすべての器具をディスポーザブルにして患者さんごとの使い捨てにすれば感染は起こりません。しかしコストの面やディスポーザブルができない器具(歯を削る器具や外科用器具等)がありますので、そのような器具には、付着したウイルス、細菌を滅菌しなければなりません。
当院が新しく導入したのは、ヨーロッパ型滅菌システムです。患者さんに使用した器具を「ウォッシャーディスインフェクター」で、洗浄→消毒→乾燥します。この工程で、ほとんどの細菌、ウイルスを除去できます。それから外科用器具などの金属器具は、滅菌バッグという袋に詰めて「クラスB」により完全に滅菌し保管します。また消毒室のなかにも不潔ゾーンと清潔ゾーンとに区分けしました。消毒滅菌された器具と不潔な器具が混ざりあわないように工夫されています(スイス、ドイツでは法律化されています)。
不潔ゾーン 壁の色を赤と黄に変更してゾーンを視覚的にわかりやすく
清潔ゾーン 壁の色を緑に変更してゾーンを視覚的にわかりやすく
このシステムを導入するには、器械も高額であると同時に、床下の配管工事まで必要とされるので、消毒室全てを改装しなければなりません。改装までに随分と迷いましたが、文元歯科に来院いただいている皆様が安心して受診できるよう、また世界で一番進んでいるヨーロッパ型の歯科医療(特に予防歯科)を提供できるようにと思い、改装致しました。
スウェーデンの歯科診療
5年前に大阪大学歯学部障害者歯科治療部の先生とスウェーデンの大学歯科病院、障害者歯科センターでの見学および研修が、私にとって良い契機となりました。スウェーデンは世界で一番、国民の口が健康な国です。
1950〜60年代は、他の先進国と同様、むし歯が多かったのですが、いち早く、国全体で予防医療を開始しました。子供の医療は無料です。すべての国民は定期健診が習慣化し、予防的ケアを受けることができます。
私が見学した障害者歯科センターも、口腔ケアが充実されており、滅菌システムも徹底されていました。
スウェーデンの研修を終えて、私は文元歯科医院の患者さんにも、スウェーデンの国民と同じように「健康なお口」を手に入れてほしいと思いました。
帰国後すぐに取り組んだのは、
- 院内新聞発刊による正しい健康情報の提供
- フッ化物洗口の処方(市販価格の200分の1)によるむし歯予防の徹底
- 定期健診時の問診(セルフケアの聞き取り)と助言
でした。
そしてようやく、今回の改装で、「バリアフリー」と「ヨーロッパ型滅菌システム」を構築することができました。
玄関からのスロープ
スウェーデンは障害をもった方でも生活しやすい福祉国家です。私が障害者施設で感じたのは、物理的なだけでなく精神的な「バリアフリー」です。生活する上での障壁(バリア)は、環境によって左右されるのです。
お手洗いもバリアフリーに
私たちが暮らす環境が改善され、人々の理解と助け合いが、私たちの生活、社会を豊かにするのだと実感しました。
今回の改装が形だけでなく、皆様の健康にお役に立つことを信じて、皆様とともに歩んで行きたいと考えております。
今後ともよろしくお願いいたします。
院長 文元基宝